遠くに飛ばせるWi-Fi規格 IEEE 802.11ah

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事務局長のつぶやき

遠くに飛ばせるWi-Fi規格 IEEE 802.11ah

2024年2月26日(金)

以前に免許不要の通信規格として紹介しましたLPWAは、遠距離の通信に向いていますが、電波の帯域が狭い事から映像など大きいデータや高速な通信には不向きでした。この不足を埋めるべく「遠距離通信用Wi-Fi」の規格として、2018年にIEEE 802.11ahが策定されて同年には推進協議会(AHPC)も創立され、2022年9月に総務省から正式に認可されています。
この新たなるIEEE 802.11ahは「Wi-Fi HaLow」とも称されており、通信の仕様は次の通りになります。

周波数       :920MHz帯
帯域幅とチャンネル数:1MHz x 6ch / 2MHz x 4ch / 4MHz x 2ch
空中線出力     :13dBm
送信時間(制限)   :Duty比10%(=1時間あたり送信可能な時間は360秒/通信機器1台につき)
実行速度      :100kbps ~ 1Mbps(制限下)
アンテナ      :技適を取得したアンテナのみ
飛距離       :500m(速度を150kbpsまで落とせば1km)

LPWAと比較し大きなデータ通信に有利でありますが「Duty比10%」の制限が有る他、チャンネル数も多くない点は注意です。
この「Duty比10%」とは、2020年10月30日に920MHz帯の使用方法について法改正された際に適用されたルールです。
これまでデータ通信の世界では、自分の使うチャンネルで他が発する電波を受信したら送信が抑制される「キャリアセンス(CS)」(別称:LBT)のルールが用いられていましたが、世界的に見て日本のみで運用されるルールになっていた事から、これを非適用にできる一定条件の中のひとつとして「Duty比10%」が適用されました。この適用によって理論的には1時間あたり10台の端末まで同一のチャンネルで利用が可能となります。
無線従事者の資格を必要としない以上は、使用上の制約が有るのは仕方が無い面でもありますが、LPWAとは異なり既存のLAN機器がそのまま接続できる点は大きなメリットと言えます。

弊社は、IEEE 802.11ah協議会加入メーカーでありますフルノシステムの代理店を務めております。
同社のIEEE 802.11ahに対応の無線アクセスポイントを扱っておりますので、ご検討のお客様はお問い合わせフォームまでお願いします。

<参考文献>
IEEE 802.11ah紹介資料(総務省)
IEEE 802.11ah> を活用したユースケースについて(802.11ah推進協議会)
漁業の未来の救世主!? ~アセラにゃんの社会科見学Part5(フルノシステムズ)
IEEE802.11ahに対応したアクセスポイント「ACERA330」(フルノシステムズ)

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