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事務局長のつぶやき

WEBで電子部品を調達する場合のご注意

2022年07月29日(金)

今年は梅雨があっという間に終わってしまい、過去に無い長い夏になる事が予感されます。
30℃を超える日も続いていますので、熱中症や水の事故には十分にお気を付け下さい。
さて、電子部品の不足は依然として改善する様相が無い事からWEB上の販社から緊急調達を行う機会が有るかと思います。今回はWEBの販社から「市場在庫品」を調達する場合の注意事項(=リスク)をご紹介します。

①メーカーの品質保証の対象外です。

メーカーが品質を保証するのは、あくまで正規代理店の商流を経て供給された製品のみです。業界の通例として「市場在庫品」は非正規品として扱われます。理由はメーカーの管理下の販売ルートを通じて入手されたものではないためです。「市場在庫品」には末端のユーザーの倉庫内で長期在庫となって、その処分のために売却された経緯の部品などもごく普通に流通しています。このような部品は出荷元も伏せられておりトレーサビリティも出来ませんから、当然メーカー側も品質保証の対象外として不具合が生じても解析や調査には一切応じません。

②不具合時の補償は満足でない。

前期の通り「市場在庫品」はメーカーの品質保証外であるため、販社が独自に補償の基準を定めています。ただし補償の内容は「返金」もしくは「代品の準備」のみで、それ以上の補償はありません。補償の基準が無くノークレーム/ノーリターンを謳っている販社も有ります。

③不具合の証明および解析は購入者側で行う。

不具合が検出された場合、補償を受けるために不具合の証明が必要ですが、販社はその調査は行ってくれません。初動対応も含めて全て購入者が行なわなければなりません。なお、せっかく不具合を証明したにも関わらず快く補償に応じてくれない販社もございます。

④製造年が古いものや有鉛品が有る。

「八方に手を尽くしてやっと入手したら1995年製の鉛含有品だった」のような話をよく耳にします。製造年(デートコード)が古い電子部品に関しては経時変化による劣化以外に劣悪な環境で保管されていた事が原因でリードのメッキが酸化したり、内部が吸湿するなどで動作異常を起こすリスクが非常に高いです。製造年が古い部品に関しては手を出さない事が賢明です。また、窓口の販社に悪意は無くても確保した先が鉛含有品を故意に混入させるケースもございます。

⑤ニセモノ(模倣品)が存在する。

デートコードが古いよりも問題なのはニセモノです。業界では「模倣品」として言葉が統一されています。中小の販社だけでなく大手の販社からでも見つかる事が有ります。外装箱から精巧に模倣されていますため視覚的なチェックをスルーしてしまい、基板への搭載後に電気的な特性が出なかったり全く動作しない事で発覚します。販社の補償程度ではとても損害は填補できませんから、搭載してしまうとその被害は甚大です。

⑥価格は時価である。

「市場在庫品」の価格は、正規品の元値は基準とされず需要と供給のバランスで決まります。流通が少なく探す方が多いとプレミアアムが付いて高くなります。例えば、正規品で@15円のフォトカプラが@1500円出さないと買えないなどは通常です。なお、複数の販社に渡って特定の型式品名の在庫検索を続けていると販社間で情報共有されて単価が吊り上げられてしまうケースが有ります。

⑦環境影響物質の調査には応じられません。

環境影響物質の非含有の保証やchemSHERPAによる対応を希望する事が有ると思いますが、メーカーは「市場在庫品」の品質保証には一切関わりませんので対応を頂けません。その他、海外への輸出で税関に提出する際に必要な該非判定書についても同様です。(メーカーがHPで公開している場合を除きます)

上記7項の内容の通り、売る側は有利で買う側は不利な取引になります。弊社もWEB上で電子部品の在庫を公開して提供を行っておりますが、不特定に対する販売を目的として確保したものでなく販売やプリント基板の製造を行う事を目的に弊社自身がメーカーから調達したもののみです。トレーサビリティに関してはご安心下さい。

在庫の検索や調達のご相談は、電子部品在庫検索までお願いします。


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