Windows10のアップデート管理の問題について
2018年10月2日(火)
個人向けとは異なり、業務用途ではまだまだWinowos7が多く使われています。しかし、本年11月以後はWindows7がインストールされたパソコンの出荷がほぼ終了するため、どうしても11月以降もWindows7の購入が必要な場合は、組込用として販売が継続されているEmbedded版を入手せざるをえません。Embedded版は、組込用途以外に流用する際のハードルが高いため、もはやWindows10への移行は必須と言える状況です。
■Windows7/8.1からWindows10へ
Windows10は新種や未知のウイルスに対する耐性が強い上、市販ソフトと遜色の無いアンチウィルスソフトを標準装備するなど、Windows7とは比較にならないくらいセキュリティ面の充実化が図られています。しかし、セキュリティ対策が充実化される一方、これまで使用者側の管理権限下で任意にコントロール可能だったアップデートが、Windows10からはOS側の管理となり、アップデート実行に関わる決定権は使用者側には無くなりました。結果として、インターネットに接続されている限りアップデートが自動で実行される仕様に変更されています。
■年2回実施のメジャーアップグレード
ここで最も問題になるのは、Windows3.0→8.1と、進化を兼ねて行われていたメジャーアップグレードに匹敵する「機能更新」です。Windows10以後はアップデートの中でこの機能更新が行われるのです。機能更新は年2回実施され、インターネットを通じて3GB近いファイルのダウンロードとインストールが実行されます。ほぼOSの入替えに匹敵しますので、機能更新のインストールが実行されている最中はパソコンは利用できません。CPUのスペックが最も高いパソコンでも40分を要し、低スペックなCPUのパソコンの場合だと半日を費やしてしまいます。これに対しては有効な対策の用意が無く、OSの設定でアップデートを実行させたくない時間帯の指定は可能であるものの、実行を開始する時間の指定が出来ません。そのため、業務時間内に機能更新が掛かってしまい業務が中断してしまうなど現場の生産性を落とすトラブルの原因になっています。
■アップデートの問題点
問題点はこれだけに留まりません。Windows7や8.1からWindows10にグレードアップして使用してる古いパソコンの場合、パソコンが機能更新に追従できずにアップデート前への復元と機能更新の実行がループしたり、これまで稼動していた周辺機器が機能更新の後にドライバーが非適合となって使用不能になってしまうなどの問題も発生しています。このように機能更新も含めて一切のアップデートが任意にコントロール出来ない事がWindows10の抱える問題点と言えます。無人の設備や人の手が掛けられない場所に設置されたパソコンにおいてアップデートに関わる障害が発生した場合、機能が完全に停止してしまう事になります。
■問題点に対する対処策
アップデートに関わるトラブルが発生すると、解決手段を持たないパソコン使用者は情報システム担当者(無ければ総務部門)から救援要請が寄せられる事となるのですが、Windows10機を多数抱えた場合、アップデート後に発生したトラブルの対処に追われてしまいます。結果的に対策の部署や専任担当が必要となってしまうのです。このようなアップデートの管理に関わる問題に対処方法として2つの手段が講じられています。
【1】Windows10アップデートの能動的管理
Windows10の全ての更新ファイルを収納する専用サーバーをネットワーク内に設置し、この専用サーバーを介してネットワーク配下のパソコンにアップデートを実行させるという方式が有ります。パソコン側にはデフォルトのアップデートを停止させて専用サーバーからのみアップデートを実行するソフトウェアをインストールします。アップデートはアップデートの管理者の権限でコントロールを行い、パソコンのメーカー・機種別により更新ファイルのキッティングや、グループ別にアップデート実行日を変更するなど、能動的な管理が可能となります。既に1000台以上のWindows10パソコンを抱える企業で導入が進んでおり、アップデート管理の効率アップに役立っています。
【2】Windows10の機能更新の完全停止
こちらは【1】とは逆に、機能更新が適用されないLTSB版OSのWindows10を採用する手段です。LTSB版OSは組込用であるため、既に医療機器や工作機械の他、デジタルサイネージ等の無人設備等、一般版OSとは異なる用途に採用されています。LTSB版は、インターネットに接続していてもセキュリティとバグフィックスのアップデートは実施されますが、機能更新は実施されません。機能更新が停止されるメリットは多いのですが、OS単体でのパッケージ販売が行われていない上、10本以上でライセンス契約をする必要が有ります。LTSB版は、仮にライセンスで購入したとしても単価が一般版と比較して割高な上、OS入れ替えの手間を考えると単独導入にはハードルが高い事が難点です。
もっとスムースに導入する方法は、マイクロソフト社とLTSB版OSの取扱い契約を交わしているメーカーからプリインストールされたパソコン(産業用PCや業務用タブレット等)の購入です。1台から購入が可能です。
弊社ではアップデートの管理および、LTSB版OSのプリインストール済みパソコン導入のご相談を受け賜っております。お気軽にご相談下さい。